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アニメ

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉

01

​本作の最大の問題点は、物語を完結させる気が一切ないことだ。前作『叛逆の物語』から続くパラレル的な世界観や、抽象的な空間での言い回しを徹頭徹尾繰り返すだけで、話が一向に前に進まない。「核心を描いてしまえばコンテンツが終わってしまう」という制作側の恐れや、この作品でまだまだ集金したいという商業的な引き延ばしの思惑が透けて見え、鑑賞中ずっとノイズになってしまった。
​そして何より許せないのが、ほむらのキャラクターのブレ。
前作で彼女は、何度ループして心を濁らせようとも諦めきれなかったまどかへの愛と執着ゆえに、「悪魔」に堕ちるという究極の決断を下したはずだ。誰の言葉にも耳を貸さない、盲目的なまでの激重な感情。それが彼女の出した結論だったのではないのか。それなのに今作では、周りから発破をかけられて急に真人間みたいなことを言い出し、あっさりと意思をフラつかせている。そんな「人間らしい」ほむらは、前作の時点でとうに終わらせてきたはずだ。
​さらに作品を薄っぺらくしているのが、無駄な新要素の数々。唐突に現れる3人の新キャラクターに尺を割きすぎている上、人間性の掘り下げもほぼないため全く感情移入できない。メインキャラの絶妙にダサく、とっ散らかった新衣装についても作中で何の説明もなく、ただ萎えるポイントでしかなかった。
​確かに、冒頭の映像から感じる気迫やリッチなシネスコ画面など、映像美として評価できる部分はあった。しかし、結局は「過去作でよく見た背景やレイアウト」に新規の無意味な要素を重ねただけの、表面的なチューニングに過ぎない。どれだけ手間とお金をかけても、そこに「新しいことで驚かせたい」というかつての野心や作品としての芯がなければ、ただ美しいだけの空虚な映像に成り下がってしまう。
どのみち収束させる気がないのなら、結末は永遠の謎のままにしておいてくれた方がよほどマシだった。

02

『叛逆の物語』が残したあの意味深なラストシーンは、結局何の回収もされなかったと言っていい。

長年ファンが考察を重ねてきた「ワルプルギスの夜」の正体が、ふたを開けてみれば単なるポッと出の新キャラクターだったのには開いた口が塞がらない。あまりにも後付け感が強すぎる設定の連続で、思い入れも何もない新キャラのバトルを延々と見せられるこちらの身にもなってほしい。前作のマミVSほむらの銃撃戦がバズったから今回もアクションを盛ればいい、という安直な意図だとしたら悲劇としか言いようがない。

加えて、画面上で浮きまくっている四角い謎の3DCG演出。あれのせいで「魔法少女」特有のダークファンタジー感が完全に消え失せている。さらに言えば、暁美ほむらという存在はあそこまで無力で弱々しい描かれ方をするようなキャラクターだっただろうか?

ほむらとさやかの掛け合いだけは唯一見応えのあるシーンだったが、他のメインメンバーは完全に蚊帳の外で、ノルマのように処理されて終わってしまった。

何年も待たされたファンたちが「こんな展開が見たい」と抱いていたささやかな願いは、見事なまでに一つも叶えられていない。「勝手にハードルを上げて文句を言うな」という反論があるのも分かる。だが、その批判を甘んじて受け入れたとしても言いたい。私たちが待っていた時間は、いったい何だったのだろうか。

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